【競泳ブログ】では、考えて泳げる選手を育成するために、泳の知識を更新していきます。速くなりたい選手、綺麗に大きく泳ぎたい選手の方など、是非参考にしてください。
競泳は特殊なスポーツです。スイマーは固体でなく水という流体を押すことで推進力を作り、水の中を進みます。その為、水の中を進むのには大きな短所2つがあるのです。
①大きな抵抗が生まれること
②水を押しても小さな推進力しか生まれないこと
この2つをクリアしていく事が速く泳ぐ秘訣となります。
まず1つめの『大きな抵抗が生まれること』について対策の紹介をします。
水は無数の水素と酸素から構成され、水は空気の1,000倍の密度を持っている。このため、スイマーが受ける抵抗は空気よりもはるかに大きい12倍にもなります。また、泳ぐ速度が上がるにつれ水の抵抗は増加するので、上級者になるほどにさらに高い技術で泳ぐことが求められます。
抵抗の種類は3種類あります。
①造波抵抗
②渦抵抗
③粘性抵抗
この3つの抵抗を減らしていく必要があります。
【造波抵抗を最小限にする方法】
造波抵抗は移動する方向前面に生じる抵抗です。泳いで前に進むことで体の前側に水が重なり、一方で体の後ろ側は水の量が少なくなります。泳ぐスピードによって最も影響を受けやすいのが造波抵抗で、泳ぐ速度の3乗に比例すると言われています。造波抵抗は水面にいる時よりも水中にいるときの方が小さくなるのです。ドルフィンキックやバサロキックが得意な選手が15mギリギリまで水中を潜って進むのは、造波抵抗とキックで生み出せる推進力を比べた時に、その方が速度が出やすいからです。造波抵抗を最小限に抑えるためには、綺麗なストリームラインを作ることが必要不可欠となります。腹筋を使いボディポジションを高くして前にできた波に乗るイメージを持ちます。ストリームラインは、ただ手を伸ばすのではなく肩甲骨・胸郭・肩関節など、様々な筋肉・関節を伸ばし中指の先まで綺麗に長くなるよう伸ばして波にのせましょう。
【渦抵抗を最小限にする方法】
渦抵抗は、移動する身体の後方に生じる抵抗です。水は圧力の高い前側(頭側)から低い後ろ側(脚側)へ流れていきます。流れていった水はある地点で体から離れていき、渦ができ身体の後方に抵抗となり現れるのです。その為、頭をしまって体が一直線になる綺麗な流線型のストリームラインを取れていれば、水が手先から足先で邪魔なくスーッと流れていき渦抵抗も小さくなります。足は左右上下開かないように気をつけます。造波抵抗よりも渦抵抗の方が抵抗率が高いため特にストリームラインを作るときは足先まで注意してほしいです。
【粘性抵抗を最小限にする方法】
粘性抵抗は、身体の表面上に生じる抵抗です。粘性抵抗は泳ぐスピードに比例して大きくなりますが、比較的わずかな増加なので他の2つの抵抗ほどには大きな影響を受けません。粘性抵抗を減らす努力としては、水と体が接する面積を減らすこと、体の表面をつるつるにすること、水着の選択です。水と体が接する面積を小さくするには、できるだけ高いボディポジションで泳ぐことで水と接する面積が減ります。体の表面をつるつるにするのは、シリコンキャップの着用・レース水着の着用や毛を剃るのが一般的です。
3つの抵抗の中で、泳ぎのスピードと共に増加する幅が最も大きいのは造波抵抗です。それに次いで大きくなるのが渦抵抗です。粘性抵抗は2つよりは比較的影響が少ないです。競泳では泳ぎの技術を向上させることで、これらの抵抗と上手くつきあっていきます。抵抗が極力増えないようなフォームを身につけ、キックやプルのパワー増加で推進力を大きくしていきましょう。